実家の玄関の靴箱には、暗黙の決まりがあった。
一番下の段だけ、誰の靴も入れない。理由を知る人はいない。
掃除はされている。埃も溜まっていない。ただ、何も置かれていない。
来客のために、一度だけその段に客の靴を並べてあげた住人がいた。
客が帰ったあと、靴箱は元どおりになっていた。誰が戻したのかは分からない。
それ以来、なぜかその段の高さから聞こえる物音にだけ、敏感になったという。

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