誰も押していない降車ボタンが、毎日点く。
通勤で使うバスの、決まった停留所の手前だけだという。
運転手は毎回停める。扉が開いて、誰も降りない。
運転席のモニターにも、その停留所だけ降車の記録が残るという。
ある人が、その停留所で試しに降りてみた。
ただの住宅街で、何もない場所だった。
以来その人だけが、バスが止まる前にボタンの光る音が聞こえるという。他の乗客には、その音は聞こえない。

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